判断能力が低下した人を法律的に支援するために導入された成年後見制度ですが、費用面や煩雑な手続きを敬遠してか、成年後見制度の利用をためらうケースが多くあるようです。

 

1.成年後見制度とは?

認知症などで判断能力が低下した人が不利益を被らないように支援する制度で、本制度は判断能力のレベルによって以下の三種類に分かれています。

・本人に判断能力がない場合…成年後見人

・判断能力が不足するものの日常生活に支障がない場合…保佐人

・さらに症状が軽い場合…補助人

 

2.なぜ成年後見人が必要なの?

民法では、売買契約などの際に、その行為の結果を理解できる能力がなければ契約は無効であると規定されています。認知症の人は判断能力が十分ではないと判断され、不動産を売却する際は成年後見人等を選任する必要があります。

しかし、後見人は家庭裁判所が選任する仕組みとなっており、希望者が選ばれるという保証はありません。特に面識のない弁護士などの専門職が選任される可能性の方が高いのです。専門職といえども、財産を第三者に管理されることを避け、制度を利用しないと決める人も多くいるようです。

また、専任されると、被後見人が亡くなるまで後見人に報酬を支払わなければなりません。こういった側面も利用が進まない原因と言えるでしょう。

 

利用を促すため、親族など本人にとって適切な後見人を選任するような動きも出てきています。また、後見人の柔軟な交代や報酬の在り方などの改善点も議論されています。今後の民法改正も含めて、利用を検討してみるのも良いでしょう。