共働き世帯の増加とともに夫婦2人で住宅ローンを借りる人が増えてきています。2人でローンを組めば1人でローンを組むよりも借入額を増やせたり、住宅ローン控除を2人分利用できたりする利点があります。

各金融機関では夫婦で住宅ローンを借りる世帯が増えており、その背景には物件価格の上昇があります。土地代や建築資材費、人件費の上昇が大きく、コロナ禍で大規模な金融緩和が続き、投資資金が不動産市場全体に流入したことも影響しているとされています。

夫婦で住宅ローンを借りる方法は主に下記の3つがあります。

 

①ペアローン

・夫婦がそれぞれ1本ずつ契約し、それぞれが債務者となり、互いに相手の連帯保証人となる。

・住宅ローンは2人分利用可能。

・所有権は共有名義。

・団信へは夫婦それぞれが加入。

借入額や金利タイプ、返済期間等の条件を個別に設定でき、夫婦の収入に応じて借入額に差をつけたり、一方の返済期間を短くして返済負担を減らしたりすることも可能です。

 

②連帯債務

・1人が主債務者、もう片方が連帯債務者となり、2人同等に返済義務がある。

・住宅ローンは2人分利用可能。

・所有権は共有名義。

・団信へは主債務者が原則加入、連帯債務者は加入できる場合もある。

 

③連帯保証

・1人が債務者、もう片方が連帯保証人となり、債務者が返済できないときに保証人に返済義務が発生する。

・住宅ローンは債務者のみ利用可能。

・所有権は債務者のみの名義。(連帯保証人が頭金を出した場合は共有名義)

・団信へは債務者が加入、連帯債務者は加入できない。

 

上記の特徴を踏まえながら、世帯の収支が将来変わる可能性があることを見込んだ借入金額と借入方法を検討しましょう。

 

また、夫婦で住宅ローンを借りる際の最大のリスクは離婚だと言われています。自宅の所有権やローン返済をどうするかを巡って協議が難航しやすく揉める傾向にあるからです。

離婚する場合の選択肢は主に二つあります。一つは、家を売却し残りのローンを返す方法ですが、ローン残高を下回る価格でしか売れなければ、離婚後も返済は続きます。

もう一つは、どちらかが住み続ける場合は住む方の単独債務にしたり借り換えたりする方法です。しかし、1人の収入では返済できない場合が多く借り換えできるケースは多くありません。金融機関が借り換えに応じるかはケース・バイ・ケースで、ローンを払う側の将来の収支に不確定な要素がないことを示す必要があるといいます。

 

夫婦2人で住宅ローンの借り入れをすれば、借入額を増やせたり住宅ローン控除を2人分利用できたりする等のメリットもありますが、最大のリスクを考慮した上でどのような方法を選択するのかが重要となるでしょう。専門家に相談しつつ自分たちに合った方法を見極めるのが大切です。