故郷の実家を相続し所有し続ける限り、維持費の資金繰りは現実的な課題となっています。家屋は劣化が進めば修繕費用もかさみ、市場価値は低くなってきますので、下記の注意点を考慮しながら長期的な維持費等を試算することが重要となるでしょう。

 

固定資産税・都市計画税

固定資産税や市街化区域の不動産に課される都市計画税は、不動産ごとの課税標準額に一定の税率をかけて算出します。注意したいのは、住宅用地向けの軽減措置がある土地は200㎡以下の部分について固定資産税が6分の1、都市計画税は3分の1になります。逆に住宅用地と認められなければ税金3~6倍に跳ね上がることになります。

例えば、家屋を解体して更地にしてしまうと特例の対象外となります。家屋分の税金はなくなりますが、戸建てはマンションと異なり一般的に建物より土地の方が評価額は高いので、総額では税金の負担が増すことになります。

家屋も放置して倒壊しそうだったり極端に不衛生だったりすると、市区町村から特定空き家に指定され、指導や勧告に従わないと、住宅用地の特例対象から外れる可能性もあります。

解体しても放置しても税金の負担が増えるのであれば定期的な管理として、庭の手入れをしたり空気の入れ替え等を行ったりする必要もあるので、水道光熱費も維持費として試算しなければなりません。

 

 

火災保険料

住宅としての契約のままだと、万が一の際、保険金が出ない可能性もあります。家財道具が配置されているなど、別荘のように利用している場合は住宅として認められる可能性はありますが、空き家は通常、店舗などと同じ一般物件扱いとなります。

一般物件の保険料は住宅向けの倍近くの金額となり、保険会社によっては、空き家だと火災保険の契約自体ができない点にも注意が必要です。

また、火事が延焼したり台風で屋根が飛んだりして、近隣に損害を与えてしまうリスクもあります。また、家の管理が悪いと過失責任が問われる場合がありますので、専門家に相談し別途保険に加入する必要があるかどうか検討してみましょう。

 

空き家対策として、国は2023年にも空き家の引き取り制度を始めますが、自己負担で家屋を解体する必要があるなど利用条件は厳しく、気軽な選択肢ではありません。まずは故郷の実家について親子で当事者意識を以て話し合うことが重要となるでしょう。