1 住宅ローン滞納に陥る原因

住宅ローンに陥る原因は様々です。
住宅ローンを組む段階で気をつけられるものもあれば、不慮の事態によって滞納になってしまうことも多くあります。ここでは主だった8つの原因をお伝えします。

1-1 収入に見合わないオーバーローン

自己資金や購入する不動産以外の担保がなくても売買代金全額を銀行からの融資で調達することを「フルローン」といいます。
売買代金に加えて、諸経費(不動産仲介手数料、住宅ローンの手数料、リフォーム費用、家具や家電製品等)を売買代金に加えて融資で調達することを「オーバーローン」(住宅ローンが担保となる家や土地の時価を上回ってしまう状態)といいます。

購入時に多額の住宅ローンを組み、その返済に耐えられず自宅を売却せざるを得ない状況になっている債務者が大勢います。

1-2 勤務先の倒産、リストラ、失業、病気により給与減給

収入が途絶えて返済が苦しくなる一番多い原因は、リストラや転職、病気による給料減少、独立失敗、失業によるものです。

1-3 離婚による住宅ローン相談

離婚協議中での自宅売却も少なくありません。
多いのが、結婚を機会にマイホームを購入し、不動産の所有権持分を2分の1ずつ等、共有持分で登記している場合の、離婚する際の不動産売却相談です。

この場合、住宅ローンは連帯債務になっているケースが多く、住み続ける方は、相手の共有持分の所有権を買い取るか住宅ローンを巻き直すかの選択になります。

しかし、上記のような選択肢は中々簡単にできるわけではありません。

そこで、売却してローン返済を検討する為に実勢価格の査定をしますが、現在の価格は購入時より著しく下落している事を目の当たりにします。

ローンの持分権を抹消するのに、自己資金(金銭)を用意できれば問題ありませんが、お金が用意できなかった場合は任意売却の相談になるケースが多くなります。

1-4 独立したが経営がうまくいかず収入にならない

会社員時代に(当時45才)、購入物件価格+諸経費全ての資金を住宅ローンで組んでマイホームを購入した。

銀行は80才までローンを組むことができた為、35年ローンを借りた。定年後もローン返済する必要があり、会社員を辞め独立開業した。独立はしたものの収入はなく、ローンの返済はおろか、生活費の捻出も厳しく、任意売却を相談する事になるようなケースも多く存在します。

1-5 住宅金融支援機構のステップローン返済が厳しい

住宅金融支援機構(旧:住宅金融公庫)が扱っていたゆとりローン(ゆとり返済)は、平成4年から平成12年にかけて所得の低い人を中心に貸し出された住宅ローンです。

このローンの問題点は最初の5年間の支払額が低く抑えられている一方、6年目と11年目に段階的に支払額が増えるよう設計されている点にあります。

終身雇用と定期昇給を前提とした商品のため、バブル崩壊後の長期不景気で収入があがることもなく、この時期にゆとりローンを組んだ世帯の多くが返済に苦しみ、家を手放さざる得なくなりました。

当初の返済額が少ない期間は、ほとんどが金利返済となるため通常の住宅ローンと比較して、元金返済は進んでいません。そのため、自宅を売却をしても住宅ローンが残ってしまうケースが多く、自宅ローン完済が難しい場合は、任意売却による自宅売却となります。

1-6 消費者金融・カードローンやキャッシングの多額借入

遊興費をカードローンやキャッシングで消費者金融からの借入をしてしまい、目前の返済ばかり気になり、気づいた時には、消費者金融の高金利で借り入れたお金で低金利の住宅ローンを返済するといった自転車操業に陥っているケースもよく相談に来られます。

このケースの方は、収入の増加で生活の状況が好転しない限り、必ず生活破綻します。

このような方は、現時点での生活状況を客観視できていない可能性がありますので、早目にご相談下さい。

1-7 持ち家を賃貸していたが空室になって賃料が入らない

自宅マンションを購入後、転勤となり賃貸に出している方からの相談も多くあります。物件購入時、フルローンで借入している場合など、賃料(家賃)では住宅ローンの返済額をまかなえず、給料で不足分を補っている方が多数おられます。

このようなケースで、転勤が長期になり、賃借していた入居者が退去し、家賃がゼロになり、とても給料では毎月ローンの返済ができなくなる場合があります。

マンションを手放し、住宅ローンを完済しようと考え、実勢価格を査定してみると購入時より大幅に値下りしているケースも多数です。自宅を転勤などで賃貸に出そうと考えている方は、事前によく検討してみましょう。

1-8 相続で残されたローンの支払いが困難に

通常、物件を購入時の住宅ローンにおいては、金融機関の団体信用生命保険に強制的(住宅ローン申込の条件)に入る事になっていますが、住宅金融支援機構の場合は任意となっており、加入していない方もおられます。

住宅金融支援機構の場合、加入していても掛金は毎年口座引落しで支払う仕組みになっています。

ローン支払期間中に、債務者が団信保険料の支払いを停止していた事を忘れて死亡した場合、相続人は当然債務も引き受けなければならなくなり、任意売却というケースも多くなってきています。