低金利と人口減に苦しむ地方銀行に、積極的な融資の反動が目立ち始めています。

収益の確保を最優先するあまり、融資の審査が甘くなり、損失を被る例が相次いでいるようです。

 

日銀の金融緩和が始まって6年半、預金金利はほぼゼロで貸出金利は下がり利ざやは縮む一方です。地銀は収益性の悪化を融資の数で補おうとし、結果として無理な融資を増やす結果となりました。

 

また、行き過ぎとも思える無理な融資は個人向けにも広がっています。

特に給与振込口座と紐付き長期の取引につながる住宅ローンは、地銀のうち約8割で住宅ローンの残高が増えて、全体の残高も4%増えたといいます。しかし、住宅ローンの残高が増加しても、十分な利幅を得られていないのが現状です。

 

住宅金融支援機構の調査によると、2018年10月~2019年3月に借りた住宅ローンで返済額が年収の25%を超えた世帯は2割となり、2017年の1.4割から急増しました。

返済比率の適正水準は20%程度までとされていますので、身の丈を超えた融資が広がっている可能性があります。融資の審査が甘くなっていることで、個人の収入に見合わない貸出が増えているのです。

 

無理な融資には、必ずひずみが生まれます。地銀が住宅ローンを積極的に売り出す姿勢が改善されない限り、後に問題が起きないように個人もしっかりした意識を持つことが重要でしょう。