中古マンション流通を促すため、マンションの管理状況等を評価して公表したり、長期優良住宅の認定を取りやすくしたりすることが可能となる新制度が始まります。
また、老朽化したマンションの空き家増加によって、修繕積立金を払う人が減り修繕が滞ることで、退去者も増える負の循環に陥りやすくなりますが、新制度は高齢化に伴う「マンション空き家」の未然防止も狙いです。
第28回では3つの新制度についてご説明していきます。
①管理計画の認定
2022年4月にも、自治体がマンション管理に【お墨付き】を与える制度が始まります。管理組合の運営や経理の状況、長期修繕計画の内容等をまとめた計画が公的基準に合致していれば「認定マンション」と認められ、制度が始まった後は「認定マンション」のみに絞って中古物件を探すことも出来るようになるでしょう。
②長期優良住宅の見直し
耐震性や省エネ性などに優れる「長期優良住宅」の認定をマンションが取りやすくなる制度が2022年2月を目途に始まります。これまで「長期優良住宅」の認定は全住宅の2%程しかなく、大半は戸建てでしたが、手続きの効率化でマンションの認定取得が進めば、中古物件を取引する際に機能に着目した物件選びも可能になります。
③修繕積立金用リバースモーゲージ
日本の空き家増加の原因として、住宅の流通に占める中古の比率が約14%で欧米諸国に比べて低いことが一つの要因とされています。また、一般的に建物の老朽化と所有者の高齢化が並行して進むとされているため、今年4月には住宅金融支援機構が60歳以上のマンション区分所有者への将来の修繕積立金を融資する制度を始めました。自宅を担保にして資金を借りる「リバースモーゲージ」の一種で、元本は死後、担保とした専有部売却で返済します。高齢者が多いマンションはこの融資で、修繕工事の停滞などを避けることができるでしょう。
首都圏を中心に中古マンションの取引は盛んになっていますが、これらの新制度が機能すれば、築10年以上の物件の取引が多くなる可能性もあり、住宅市場全体で中古物件の割合が上昇するきっかけとなるでしょう。