開始が4月に迫る<相続登記の義務化>に合わせて症例が改正されることになりました。オンラインを活用した簡易手続きを新設するのに加えて、旧姓表記や現住所とは別の住所の表記を認めるなど、手続きの負担や弊害を減らし、登記を促す狙いがあります。

■なぜ相続登記が義務化されるの?

所有者が不明な土地の解消に向け、政府は不動産登記法を改正し、今年4月1日から、土地の所有者が死亡後、相続人か相続したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務化されます。

 

■改正される内容は?

①相続人申告登記の新設

⇒遺産分割の話し合いで各相続人の持分が確定する前でも、相続人だと申告すれば義務を果たしたとみなす<相続人申告登記>が新設されました。相続人申告登記はオンライン手続きを可能とし、通常の相続登記で必要な押印や電子証明は求めないようにしました。他の相続人に関する書類も不要とするなど、手間を減らし、負担を軽くしました。

 

②旧姓表記

⇒従来、土地の所有者について戸籍上の姓でしか登記を認めていませんでしたが、旧姓表記が認められることになります。これは女性の旧姓使用が広がっていることを踏まえた措置です。結婚の前後を問わず、同一人物が土地の所有者であることをわかりやすくするとともに、戸籍姓だけの表記に抵抗を感じる人の申請を促す狙いがあります。

 

③現住所とは別住所の記載

⇒相続人がDV(家庭内暴力)やストーカーの被害者であった場合、その住所を第三者に知られないようにするため、現住所とは別の住所を記載が認められます。別住所は代理人の弁護士や法務局の住所を記載することが可能で、相続人が被害者である場合にその相続人を守り、登記申請を可能にするため改正されました。

 

所有者不明の土地は、高齢化や人口減少を背景に、所有者が死亡した後の相続人に名義が変更されないまま放置されるなどして生じます。これらの改正内容を踏まえて、所有者不明土地の増加を食い止められるか。今後も注目する必要がありそうです。