増える空き家や所有者不明の土地の対策として、今年の4月、相続した土地を最終的に国が引き取るという新制度ができました。しかし、利用条件は厳しく、利用見込みはわずか1%弱という試算も出ています。

 

新制度の利用条件が厳しく利用が見込めない要因として、“建物は必ず所有者の自己負担で解体しなければいけない”という点が挙げられるでしょう。加えて、土地に土壌汚染や埋設物がないことも条件で、審査手数料や10年分の土地管理費相当額も支払い、やっと土地を手放せるようになっています。このような利用のハードルの高さから実際の利用率はかなり低くなるだろうと推測されています。

 

空き家は2018年に約849万戸と住宅全体の7戸に1戸で、今後もどんどん増えると見られています。空き家などを手放す方法には新制度とは別に相続放棄があり、負担が小さくなるケースが多くあります。一切の相続財産を引き継げなくなり、一定期間内の手続きなどの条件はあるものの、新制度のような厳しい条件はありません。新制度の条件が厳しいままなら、相続放棄を選ぶ人も増えてくるでしょう。

 

国主導の空き家対策が難航する一方で、民間では新たな空き家活用を目指す動きが広がっています。建て直しが出来ない物件を、建て直しが出来るように近隣住民と交渉し、リフォームした上で賃貸物件へとアレンジするサービスも生まれてきています。新制度の利用は最終手段と位置付け、手放す前の段階でどのように空き家を有効活用するのかが重要となってくるでしょう。