分譲マンションは定期的に外壁や屋上、共用部分等を修復する大規模修繕工事を実施するのが一般的です。修繕の周期はマンションの状況によって異なりますが、だいたい12年ほどで実施する例が多いようです。
通常は新築時に20~30年程度の長期修繕計画(工事内容や大まかな時期についての計画)が立てられ、その計画に基づいて積立金の金額が決まり区分所有者が積立金を払うことになります。
しかし、3回目の工事となると計画通りにいかないことも増えていきます。築30年を超えると、エレベーターや給水管が劣化していき部品の交換をする等、計画で想定した以上の工事が必要になります。ここ数年で資材費や人件費などのコストも上昇しており、修繕費が増えてしまう可能性も高くなってきています。
深刻なのは、長期計画で見込んだ修繕積立金の金額も確保していないマンションが少なくないことです。また、古いマンションほど積立金を含む管理費の滞納が増える傾向にあり、積立金の不足に繋がりかねない状況になりやすくなるとされています。
では、大規模修繕の費用には、どう備えればいいのでしょうか。
①建物の定期的な点検と修繕計画の見直し
→定期的な点検で想定に比べて劣化が進んでいない箇所があれば、その部分の大規模修繕は見送り、不具合が見つかれば早めに対応することで全体の費用を抑えることができます。
②修繕期間を延ばす工法を選ぶ
→防水性や耐久性の高い塗装などを施し、修繕周期を延ばす改修工事も出てきています。1回あたりの工事費用が増えたとしても、長期で見ればコストが抑えられるとされています。
それでも積立金が不足するようであれば、【積立金の引き上げ】【区分所有者から一時金の徴取】【管理組合による不足額の借入】等の対応策も必要となってくるでしょう。いずれも特別な規定が無ければ、管理組合の総会で過半数の賛成を得ると可決されます。
国は、老朽化対策のために2020年にマンション管理適正化法を改正し、地方自治体でも管理組合の運営状況などを確認する制度が整いつつあります。自治体によってはマンション管理士による無料相談会なども実施しており、専門家に相談し早めに手を打つことも重要です。