離婚に関わる住宅ローンについて事前に知っておくべきこと

1 住宅ローンを組む時に収入ダウンに備えましょう

・万が一住宅ローンが返せなくなるかもしれないと思ったら毎月の返済額の見直しなど返済条件の変更をなるべく早く金融機関に相談しましょう。

・一部の金融機関で取扱う住宅ローンは、特定の病気になった場合、以後の返済が免除になる保険や、失業・病気・ケガなどで一時的に働けなくなった時に一定期間返済をカバーしてくれる保険のついた住宅ローンがあります。住宅ローン申込時に専門家に相談しましょう。

2 仕事を確保しておく

専業主婦であれば仕事を見つけておくことや、資格を取得する等、次の仕事の準備が大事です。

3 離婚について身内に理解をしてもらいましょう

親や兄弟など自分の味方になってくれる人達に応援してもらうのも一つの手段です。

4 「100万円〜200万円」くらいの預金は確保しておきましょう

離婚して、元気で健康でも必ずすぐ働ける仕事があるとは限りません。引越費用なども含めて、半年くらいは生活できる預金を用意しておきましょう。

5 離婚の理由はさまざまです

パートナーの不倫、DV(ドメスティックバイオレンス)、モラハラ、浪費などさまざまな離婚の原因があると思います。不倫の場合は写真やLINE、メールのやり取り、DVの場合はやはり写真や診断書など相手方が事実を否定するときは証拠が重要となります。

6 今の時代結婚は一生の契約ではありません

3組に1組は離婚していると言われています。共働き家庭であっても、妻が出産等の理由で働けなくなるケースも考慮して住宅ローンを組むことが大切です。

7 離婚した場合、住宅ローン借入銀行に知らせる必要があります

離婚によって、住宅ローンの契約者が家を出て行くことになれば、多くの場合は「契約違反」となります。黙っておく事も「契約違反」となり、ローンの一括返済を求められることもあります。金融機関に対し、離婚後も毎月の住宅ローン返済は可能である事を理解してもらえる様、連絡をする必要があります。

8 離婚前に住宅ローンが残っている家の売却方法

  • 自宅を売却することにより、住宅ローンを全額返済できる。
  • 自宅を売却しても住宅ローンを全額返済できないが、不足分は自己資金で補える。
  • 自宅を売却しても住宅ローンを全額返済できない場合は任意売却を検討する。

*離婚を考えるなら、早い段階で自分たちの家がいくらで売れそうか査定をしてもらうことをおすすめします。

任意売却:高く家を売って残債を返済

任意売却を成功させるためには、少しでも早めに動くことが大切です。任意売却をするための時間や期間は限られていますが、住宅ローンの残債の金額より高く売れるケースもあります。相場よりも高く売却するためには早い段階で売却の準備や活動を始めて、たくさんの人に売り出しを知ってもらい、物件を見てもらうことが大切です。

<マンション売却時に注意すべきこと>

1, 内覧時に室内を清潔に保ち、物を少なくしておく
2, 内覧時にエントランス周りを綺麗に清掃しておく
3, 室内換気をしっかりと行う
4, 内覧者が来た時はゆっくりと見られるように対応する

離婚と住宅ローン問題:ケース別13選

離婚と住宅ローンは非常に密接に関係しています。
今回は、離婚と住宅ローンが引き起こす問題に関していろいろなケースを見ていきます。

1 離婚をするので自宅を売却したい、売却しても全額返済することができない

任意売却は、住宅ローンを全額返済できなくても出来ます。
離婚で時間が経つと相手とだんだん連絡が取りづらくなり、売却は困難になります。離婚協議や調停で売却を進めようとしてもそれまでのやり取りで揉めていて一緒に売却が難しいということも多いです。

また、固定資産税や維持費等も負担となりますので、早めに売却して住宅ローンの精算をしましょう。

2 共有名義の自宅だが、離婚前と離婚後とでは、どちらがよいか

離婚前に売却した方がいいです。
共有名義の住宅の売却の場合、離婚後はお互いに会いたくない連絡をとりたくないという感情が強くなっていきますので、離婚前に売却することがお互いのためになります。なお、離婚調停などで共有名義を解消しておくのも一つの方法です。

3 夫が住宅ローンを払い続け、夫が家を出て妻と子供が住み続けるケース

離婚後も夫が住宅ローンを払い続け、妻子がそのまま住み続けるというケースはよくあります。この場合、住宅ローンを支払っていることから夫が支払うべき養育費はその分減額されます。

しかし、元夫は生活費が二重となり経済的な負担が大きくなります。多額のローンを払っていくモチベーションを維持するのも厳しいと思います。

また、この場合住宅ローンの名義人が住んでいる事がローンの条件になっている金融機関は契約違反と見なしてローンの全額一括返済を求めてくる場合があります。

4 夫が住宅ローンを払い続け、妻子と子供が家を出て夫が住み続けるケース

ローン名義人である夫が住み続けるこのケースでは、債権者との契約に違反したことにはなりません。家を出た妻が連帯保証人のままだと離婚しても債務の責務を逃れることはできません。

元夫がローンの滞納すると妻のところに支払いの請求(督促)が来ます。

5 住宅ローンの名義を夫から妻に変え、夫が家を出て妻と子供が住み続けるケース

住宅ローンの名義を変えるこのケースは、妻の単独収入でローンを返済できるのがポイントとなります。

離婚する多くの妻は、元夫の収入に匹敵する支払い能力を有していない為、名義変更が可能になるケースは極稀なことと受けとめて下さい。

6 自宅が妻との共有名義だが、妻が任意売却に同意してくれない

当事者間で話合いが難しい場合、仲介役として当社が説明に伺います。それぞれ相手方に話せない事情があった場合、第三者が説明に行けば、スムーズに任意売却ができることがあります。

7 自宅を売却しても住宅ローンが残ると連帯保証人である妻には影響はあるか

任意売却を行なって、住宅ローンが一部残った場合、奥様にも返済の義務はあります。ご主人が返済できなかったり、後に破産した場合は、連帯保証人である奥様が返済しなくてはなりません。

8 離婚後夫は返済を約束していたが、滞納している場合には今後はどうなるのか

一般の住宅ローンで滞納が続けば、保証会社が代位弁済を行ない、債権者は金融機関から保証会社に変ります。代位弁済を実行した保証会社は債務者に一括返済を求めてきます。当然一括返済は困難ですから、競売の申立となります。

競売となると強制的に売却されてしまいますので、少しでも高く売って残債務を減らすために任意売却を検討する必要があります。

9 夫が家を出て行って行方が分からない、連絡がとれないが任意売却はできるか

夫が行方不明で連絡がとれない場合でも任意売却はできます。裁判所に不在者財産管理人の選任の申立てを行います。費用は、印紙、切手代等で約1万円でできます。なお、管理人報酬の引き当てとなる予納金を納めることになりますが、不動産の売却がうまくいけば予納金はそのまま返還されます。

当社の担当が一緒に同行してお手伝い致します。

10 離婚をしたいが連帯保証人を辞められるか

連帯保証人を辞める事は、住宅ローンの返済が終るまでできません。

債務者が返済を滞ると、督促がきてしまいます。保証人に財産があると差押られることもあります。

離婚協議書などに夫は妻を連帯保証人から外すよう金融機関と交渉する旨の記載をいれることもできますが、金融機関が応じるかどうかはケースバイケースです。

11 離婚で連絡をとりたくない。自宅が共有名義で売却方法がわからない

夫婦で共有名義の場合、各々が売却に同意しないと進められません。
また、離婚で連絡を取りたくない会いたくないという感情が強くなると一緒に進めたくないという場合があります。

不動産の売却に伴う契約・決済と立ち合う事が必要ですが、お互いが会わないで、代理人に委任する形で手続きをする事も可能です。

12 離婚後住宅ローンの支払いと養育費の支払いで生活ができない

離婚後、未成年の子供の親権は妻が持つことになり、家は妻に明け渡し、そして家の住宅ローンの支払いと養育費は夫が支払うことで合意しているケースです。養育費に関して公正証書を交わしていたなら支払わない場合妻から給料や資産の差し押えを迫られることになります。養育費の支払は親としての義務であり、離婚協議時に決めた以上子供が自立するまで続けるべきものです。
金銭的に苦しくなった時、将来収入が増える見込があれば住宅ローンのリスケジュールを銀行に相談して下さい。そうでない場合は、早目に任意売却の検討をおすすめします。

13 離婚時にローン付住宅は財産分与の対象になるのか

財産分与とは、婚姻生活の中で夫婦で築きあげた財産を離婚の際に、夫婦それぞれの財産として分ける行為です。
但し、婚姻前のそれぞれの財産や婚姻後に親から相続した財産は分与の対象外です。婚姻中に夫婦で住んでいた家(不動産)は、住宅ローンが残っていても財産分与の対象になります。しかし、財産分与で不動産の所有権を得たとしても住宅ローンは金融機関との契約ですので住宅ローンの名義は変わりません。