住宅ローン控除の制度は時代と共に変化してきましたが、2022年度の税制改正でも仕組みに大きな変化がありました。

 

① 控除率の引き下げ

従来、年末のローン残高の1%が控除の対象でしたが、2022年1月以降に入居する場合には0.7%となりました。その背景には低金利がありますが、住宅ローンの金利は1%を下回ることも多いので、控除率が1%の場合には差額が利益になりローンを借りる方が有利になってしまいます。そういった状況を解消するため控除率が引き下げられました。

 

② 控除期間の延長

新型コロナ感染症の影響により、経済状況が依然として厳しい状況でことを踏まえ、新築住宅等の控除期間が10年から13年に延長されました。控除期間が延長されることにより控除期間トータルの控除額が増えることになります。

 

③ 借入限度額の変更

新制度では「認定住宅等」と「その他の住宅」の大きく二つに分かれており、「認定住宅等」の借入限度額は2022年・2023年入居で4,000万~5,000万円、2024年・2025年入居で3,000万~4,500万円となります。一方、「その他の住宅」とは省エネ基準を満たしていない住宅のことで借入限度額は2022年・2023年入居で3,000万円、2024年・2025年入居で2,000万円となります。ただし、省エネ性能の高い住宅への誘導のため、2024年以降に建築確認を受ける新築の「その他の住宅」は適用対象外となることに注意が必要です。

 

④ 所得税軽減の上限額と所得制限

住宅ローン控除は主に所得税を軽減する仕組みになっていますが、所得が低いと支払う税額も減り、十分な控除を受けられない可能性があります。そこで所得税から控除しきれない金額は住民税から控除しますが、その上限額が13.65万円から9.75万円になりました。

また、所得制限も変更されており、これまでは合計所得金額3,000万円までの人が対象でしたが新制度では2,000万円以下となりました。

 

⑤ 適用される住宅の床面積の変更

住宅ローン控除を受けるためには、住宅の床面積が50㎡以上である必要がありますが、合計所得金額が1,000万円以下であれば、2023年末までに建築確認を受けた新築住宅に限り、40㎡以上50㎡未満の住宅も適用可能になりました。

 

また、住宅ローンの返済が始まってから一部を期間短縮型で繰り上げ返済すると返済期間が短くなるため注意が必要です。繰り上げ返済をすると総返済額は減りますが、期間短縮型で返済することにより返済期間が10年未満になると住宅ローン控除の対象外になってしまいます。そのような場合には返済額軽減型での繰り上げ返済を検討するようにしましょう。

住宅ローン控除を受けるには、これ以外にも様々な条件がありますので、事前にチェックをすることが重要でしょう。