相続税対策や子への支援のため、親から子へ財産を贈与するケースは多くありますが、場合によっては贈与を受けた子に多額の贈与税がかかることがあります。

1.贈与税とは?

贈与税は年間の贈与する財産について、贈与を受けた人に課税されるものです。ただし、1人あたり年間110万円の基礎控除の範囲内なら税金はかからず、親から子への贈与であれば非課税で贈与を受けられる仕組みもあります。一方で、贈与税がかかると思わず申告を怠り、追徴課税されるケースも少なくありません。

 

2.注意したい申告漏れ

まず申告漏れに注意しないといけないのが生命保険の満期保険金です。契約者と受取人が異なると、契約者から受取人の贈与となるため課税対象となりますが、契約者として保険料を支払うのが親、受取人が子である場合に申告漏れが起きやすくなります。

また、親が自宅や株式の名義を無償で子に変更した場合も課税対象となりますし、子の借入金を親が肩代わりした場合も子は金額分の利益を受けたことになり、贈与税がかかることになります。

 

3.税務署の調査

親子間の贈与についても、税務署は様々な方法で調査・把握しており、親子間の贈与だから隠しておけるというわけではありません。

①生命保険の支払調書

生命保険会社は保険金の支払いの中身を記した法定調書を税務署に提出する義務がありますので、税務署はその調書を基に調査をすることができます。

 

②所得税などの税金の申告書

特に住宅ローン控除の適用を申告した書類を調査します。不動産の購入額に比べ年収やローンの金額が少なすぎると疑われる可能性が高くなります。

 

③不動産の登記内容

国税庁は不動産の所有権移転登記の情報を取得しているため、不動産の購入者や親子間の名義変更を把握できます。

 

上記の内容を基に調査を行い、質問文書を送付することがあるようです。

 

子の教育費や生活費に充てるための贈与であれば課税対象とならないものがありますが、法定調書等を基に税務署から問い合わせがくるケースもあります。子の支出明細等を提出し課税対象ではないことを示せば課税されずに済みますので、明細等は残しておきましょう。