自己破産とは、今ある預金や車等の財産によって債務全額を返済することができない場合に、裁判所に破産申立し返済不能な債務の全てが免除されることです。
1 自己破産の手続きとスケジュール
1-1自己破産手続きには「破産管財人」と呼ばれる弁護士が債務者の財産状況を調べる手続きの「管財事件」と、破産管財人は選ばれず裁判所限りの調査で終わる手続きの「同時廃止事件」とがあります。
1-2自己破産のスケジュール
① 受任通知の発送 | |
↓(約1か月~2か月) | |
② 債権調査の完了、方針の決定、破産申立書作成 | |
〈管財事件の場合〉 | 〈同時廃止事件の場合〉 |
③ 裁判所に申立て | ③裁判所に申立て |
↓(約2週間) | ↓(約3ヶ月) |
④ 管財人との面談 | ④免責審尋期日の開催 |
↓(約3か月) | |
⑤ 債権者集会、免責審尋期日 | ⑤免責許可決定 |
⑥ 免責許可決定 |
2 自己破産における管財事件と同時廃止事件について
自己破産には「管財事件」と「同時廃止事件」の2種類があります。
ご自宅などの財産を持っている方が破産する時は原則として管財事件となります。本人に資産がなく手続きの費用もでない場合は同時廃止となります。
2-1 管財事件
自己破産は破産者の財産を換価処分して、債権者に公平に弁済・配当するという手続きです。
破産者にある程度の資産がある場合や破産者が法人である場合には、破産手続開始決定と同時に破産管財人が選任され、この破産管財人によって最終的には債権者への配当が行われて手続きが終結することになります。
2-2 同時廃止事件
同時廃止とは、破産管財人が選任されず、破産手続開始と同時に、財産を債権者に分配する手続きを廃止にしてしまう手続です。
財産がほとんど無いような状態の方の場合、破産管財人を選任し裁判所が監督監視する中で手続きを進めるということは無意味とも言えます。このように、破産手続きをすることが無意味と認められる場合には、破産手続きの開始と同時に破産手続きの廃止決定がなされる場合があります。
3 破産管財人が選任されると
3-1 管財事件になる
申立人に、配当すべき財産や不動産がある場合には、裁判所は破産管財人を選出して、破産者の財産の換価・配当という手続きをとります。ただ個人の自己破産の場合は、同時廃止になるケースが多く実際に管財事件になる場合はそれほどありません。また、管財事件になったとしても、多くの場合少額管財事件として特殊な取扱いがなされます。
3-2 管財事件の手続きの流れ
1, 破産管財人の選人
破産管財人は、破産者の財産の管理・処分を行う機関です。
破産者の財産を管理・処分する権限はすべて管財人に移ります。
2, 債権届出期間の決定
裁判所は、破産手続開始決定と同時に債権届出期間を定めます。債権者は、この期間に債権を届けることにより債権者集会で議決権を行使できるようになります。裁判所は、原則として破産手続開始決定と同時に第1回債権者集会の期日を指定します。
3, 債権調査期間の決定
債権調査期間も破産手続開始決定と同時になされます。債権調査手続においては、将来債権者に配当するために債権の存在や金額・順位などを確定する準備がなされます。
4, 破産財団の換価・配当
破産者に残っている財産はひとまとめにされ「破産財団」に組み入れられ、やがて売却されお金に換えられます。破産管財人は破産財団に含まれる財産を現金にして、裁判所の監督の下、債権者に分配する準備をします。破産管財人は、届出のあった債権者に債権額に対して順次按分比例にて分配していきます。
3-3 破産債権の確定
債権者は、裁判所が指定した期間内に債権届で自分の債権を届け出なければなりません。届け出られた債権については、裁判所の書記官が「破産債権者表」を作成し、そのコピーが管財人に渡されます。
債権を調査する期日(債権調査期日)には、債権者の住所・氏名・債権の額および原因、優先権や別除権(破産手続きによらず抵当権など一般の債権に優先して競売などによって回収を図ることのできる権利)などを調査します。こうして調査された債権の破産債権者が確定すれば、訴訟による確定判決と同一の効力を持ちます。
4 破産不動産の任意売却について
4-1 不動産売買(破産不動産)の流れ
破産手続開始の時における債務者(破産者)の財産は破産財団となり、破産者はその財産の管理処分権を失い、その後は破産管財人が管理処分権を有することになります。破産管財人は、裁判所の許可のもとに、抵当権者の同意を得て任意売却等を行い売却代金の内一定額を破産財団に組入れるように努めます。
※任意売却契約の特徴
・売主は破産管財人
・破産管財人は裁判所の「売却許可証」を得て不動産を売却
・権利書(登記識別情報)や保証書がなくても決済可能
4-2 仲介業者役割(業務)
対象不動産を調査のうえ査定し、破産管財人へ「価格査定報告書」を提出します。報告書は金融機関等の抵当権者との交渉や、裁判所の許可を取得する為にも利用します。報告書には、査定額のほかに路線価、基準地価、公示価格、販売事例、成約事例および建築の制限に関する事項等を記載します。
営業活動のポイントとして、レインズには登録せず、折込みチラシやインターネット等、一般消費者向けの広告は行いません。一般のお客様に紹介する際は「債権者の都合により取引ができなくなる可能性がある」ことを説明します。また、契約の際は抵当権等の担保権が抹消できることを条件とする「停止条件付契約」になることに注意します。